新人教育を任されたけどどうすればいい?うまく育成するためのポイントは?

新人教育を任されたけどどうすればいい?うまく育成するためのポイントは?

会社から新人教育を任されても、具体的なイメージがわかなければ何から始めるべきか悩んでしまうでしょう。また、新人教育を始めている教育担当者のなかには、上手く進められずに悩んでいる人もいるかもしれません。人材教育は相手があることなので難しいのは当然です。ここでは、人材教育の担当者に向けて、新人教育のメリットや人材育成のポイントを紹介します。

1.新人教育の目的やその重要性とは

簡単に言えば「新人社員を早く戦力化すること」が新人教育の目的です。右も左もわからない新人社員を放置しておいても戦力として成長することは期待できません。ビジネスマナーはもちろん、業務に関する知識、業務の進め方、顧客対応の方法などを身に付けてもらって戦力化できれば企業の競争力が高まります。そのために、計画性のある新人教育が必要なのです。

たとえば、飲食業界ではQSC(Q:クオリティ、S:サービス、C:クリンリネス)レベルの向上が成功の基本だといわれています。商品の品質、接客レベルやスタッフの雰囲気、清潔な空間のどれがおろそかにされても会社の成長は期待できません。さらに言えば、心のこもったサービス提供を意味するH(ホスピタリティ)も加えて教育する必要があるでしょう。重要なのは、商品を売って利益を上げることですが、そのためには従業員の「目配り・気配り・心配り」が欠かせない要素です。これらは普段の業務で身につけることは可能ではあるものの、適切な教育ができれば、より早い段階でレベルの高い従業員に育て上げられます。

「人材」は、企業の業績に大きな影響を及ぼすものであり、人材教育は業種や企業規模にかかわらず、すべての企業にとって重要度が高くなっています。とくに、飲食をはじめとするサービス業全般では、顧客満足度向上のためにも重要な業務です。

2.新人教育を適切に行うことで得られるメリット

適切な新人教育が実行できれば企業にとって大きなメリットをもたらします。ここでは主なメリットを3つ紹介します。

新人社員の生産性を早く上げられる

適切な新人教育によって、早い段階で新人社員の戦力化を実現でき、社内全体の生産性が底上げされ、業績アップにつながりやすくなります。計画的な新人教育ができるほど業務の基本を理解でき、早い段階で知識や技術の習得が可能になるでしょう。早期の成長により戦力として業務を任せることができれば、新人が所属する部署のスタッフの業務負担は軽くなります。その結果、その職場のスタッフは別の業務に費やす時間を確保できるようになるので、全体的な生産数の底上げが期待できるのです。

新人社員の早期離職を防止できる

先に説明したように「人材」は企業にとって非常に重要です。しかし「人材」は変わりが利くものととらえている企業があるのも残念ながら事実であり、新人社員の早期離職は社会的に問題視されています。厚生労働省のデータによると、平成28年の新規大卒就職者のうち32%、新規高卒者では39.2%にも及ぶ人材が3年以内に離職していることがわかっています。業種別に見ると、宿泊業や飲食業を含むサービス業の離職者の割合が最も高く、大卒・高卒ともに50%以上を占めており、サービス業界において新卒人材の流出を止めることは喫緊の課題と言えるでしょう。

新人社員が早期に離職してしまう原因は個人で異なるため一概には言えないものの、適切な人材教育により早期離職を防ぐことは可能です。たとえば、入社して間もない新人に対して比較的簡単に達成が可能な業務を割り振ります。業務に大きな影響を及ぼさないタスクだったとしても、新人社員にとっては大きな課題であり達成するために試行錯誤するでしょう。そのなかで得た経験は自身の財産となり、課題をクリアすることで成功体験を積めます。自分自身の成長を感じられると仕事にやりがいを見出せるようになるので、早期離職の防止につながることが期待できるのです。

教育担当者の教育スキルが上がる

新人教育は、既存社員のスキルを高めることにもつながります。とくに、新人教育を担当する従業員が成長できる点は、会社側にとって見逃せないメリットです。人間が記憶を定着させるためにはインプットとアウトプットが重要だといわれています。何らかの知識を覚えたら、次は自分から発信することで記憶や知識の定着を図るというものですが、これは会社組織やサービス業などの店舗ビジネスにも通じる内容です。

新人教育の実務では、自身が持っている知識を伝えていくことになるため、自身の知識の整理とともに、業務に関する知識の再認識もできます。加えて、わかりやすく教える指導力や責任感の高まりも期待できるでしょう。さらに、新人社員と行動する時間も増えるため、新人の思考をとらえやすくなったり、教育担当者自身が新人時代を思い出して心機一転できたりするなどのメリットもあります。

3.新人教育でやりがちな失敗例

新人教育を間違った手法で進めてしまうと、新人の成長が遅くなってしまうだけでなく、離職につながるおそれもあります。たとえば、業務の目的や必要性を教えないまま教育を進めてしまうケースです。「何のためにこの業務をするのか」という点を教えないまま業務手順を教え込んでも、業務の目的を理解できなければ、いわゆる「やらされている感」だけが募っていきます。また、新人教育を進めていくなかで新人からの質問などもありますが、その際に頭ごなしに否定したり明らかに不機嫌な態度をとったりするのは、新人社員が萎縮してしまうでしょう。その結果、精神的にダメージを受けてしまい、相談しにくい上司というイメージを持たれてしまうおそれもあります。

新人社員としっかり会話する時間を持たないのも教育者としてはよくありません。新人社員の将来の希望や目標、仕事に対する価値観などを聞こうともせずに、会社の意向に沿う形で型にはめようとする教育は、新人のモチベーション低下や離職につながりやすくなります。新人教育担当者の多くは、通常業務のほかに新人教育を任されるケースが多いため、なかには紹介したような失敗例を無意識的にやってしまうこともあるかもしれません。しかし、自分が教育した新人が近い将来かけがえのない右腕になる可能性や、会社にとって貴重な存在になる可能性があるので、適切な新人教育の方法をマスターすることが大切です。

4.早期戦力化・離職防止のために!新人教育のポイント

新人教育の概要が掴めてきたところで、ここからは新人教育のポイントを見ていきましょう。

新人社員の心理的安全性を担保する

入社して間もない新人社員は、人間関係や業務に対して不安を抱えながら毎日出勤しているものです。そのような中で先輩社員から教育を受けるのですから、緊張度が高まるほか、さまざまな想いがよぎることもあるでしょう。たとえば、ほかの業務で忙しそうにしている教育担当者を見ると「忙しそうだからあとで質問しよう」「教えてもらったことをもう一度聞くと怒られそう」などと考える新人社員もいます。

このような状態になれば新人の成長スピードが遅れてしまうため、普段から相談しやすく本音で接しやすい雰囲気づくりを心がけましょう。たとえば、少しの空き時間に世間話をしているだけでも新人社員の印象は異なります。また、普段から新人に対して「状況に関係なく遠慮なく質問してほしい」と伝えておくのも有効です。新人社員の不安や遠慮を取り除くことができれば、報連相がスムーズに行われやすくなるうえに、積極性も生まれやすくなるでしょう。

業務の目的や背景を伝える

新人社員かどうかにかかわらず、何のために行う業務なのかを知らずに臨む業務ほどやりがいのないものはありません。教育担当者のなかには、無意識的に業務の手順や方法だけを教える人もいるかもしれませんが、業務の意味や目的も伝えなければ新人の成長は難しくなります。

そもそも新人社員に担当させる業務は単調なものが多く重要度は高くないため、簡単な作業を任された新人社員としては、業務の意義を教えてもらえないとモチベーションが低下しやすいのです。業務全体のなかで新人社員自身に与えられた役割がどの部分を担っているのか、担当した業務の完了後にはどのようなステップがあるのかなども説明することで、業務に対する意欲も高まるでしょう。

新人社員の仕事に対する目的や価値観を把握する

新人社員の人数分だけ仕事に対する想いは異なりますし、目的や価値観も違いがあります。だからこそ、新人社員の考え方を聞き出し、理解に努めることが大切です。働き方が多様化する時代にあって、みんなが同じ考え方というのはありえません。会社に貢献したいと考える新人がいる一方で、いずれは独立・起業したいなどの目標がある新人もいるでしょう。

とくに、独立志向の強い新人ほど独自の価値観を抱いているケースが多いので、会社の要求や方針を一方的に押し付けるのではなく、新人社員の考え方に寄り添うことが必要です。とはいえ、企業の一員なのですから、会社の目標や方針も理解してもらわなければなりません。そのため、まずは新人社員への理解を示すことを第一に考え、そのうえで会社の意向を伝え妥協点を探るようにしましょう。

新人社員の特性に合わせて教え方を変える

人にはそれぞれに適した学び方やペースがあるので、新人社員一人ひとりに合わせた教育方法を考えなければなりません。たとえば、サービス業に携わる新人社員のなかには「座学で商品知識をしっかり覚えてから現場に出たい人」がいる一方で「すぐに現場に出たい人」もいます。つまり、OFF-JTとOJTのどちらにも希望者はいるので、教育方針をどちらか一方に固定せずに、新人の特性や考え方に合わせて柔軟に変えていくことが必要です。

実際に新人の個性を見きわめるためには、観察とコミュニケーションが欠かせません。教育方針や進め方は会社側が意思決定するものではあるものの、新人社員の意見を取り入れることで従業員満足度の向上も期待できます。ただし、どうしても一人ひとりに合わせた教育をするのが難しい場合は、新人社員にアンケートをとったうえで多数派の教育方針に合わせるのも有効な方法です。

5.具体的な教育手段の例

先に紹介したように、教育手法としてはOJTやOFF-JTが一般的です。OJTは教育担当者と新人社員が一緒に現場に出て、実務を通して仕事を教えられます。OFF-JTは座学研修がメインになるため現場での対応力は身につかないものの、業務上必要な知識を身につけられる研修方法です。一般的には、お客様対応が中心になる社員にはOJT、裏方に回る業務が中心の社員にはOFF-JT研修で教育を行う場合が多いですが、企業の考え方によって違いがあります。新人社員を成長させようと考えるのであれば、どちらか一方の教育手法に偏らず、週単位や月単位でどちらの教育方法を実施するのもおすすめです。

また、研修用の動画を使って、いつでもどこでも学べるe-ラーニング研修を採用する企業も少なく在りません。新人に教えるべき内容を動画にまとめているので、ブレのない教育ができます。お客さまとの関わり合いが重要なサービス業にとって、e-ラーニング研修だけに頼るのは現実的ではないものの、基本的な業務知識を身につけるのには適しているでしょう。

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参考サイト:
厚労省 新規学卒就職者の離職状況(平成28年3月卒業者の状況)を公表します

グローイング・アカデミー 担当者グローイング・アカデミー担当者

投稿者プロフィール

株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパンにて、
各種サービスの企画担当を経て、現在はマーケティング部門にて編集を担当。
学生時代は居酒屋店員として4年間のアルバイトを経験し、飲食店の現場事情に精通。
今でもお店を訪れるとスタッフの動きが気になってしまう、自称『店舗事情ウォッチャー』。

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