正しい人事評価制度で従業員を育てる!設定し直すメリットやタイミングを解説

※この記事は2020年11月13日に最新情報へと更新しました。
企業にとって、全従業員の納得する人事評価制度を確立させるのはとても大変ですよね。実際、人事評価がきっかけで従業員の反感を買ったり、退職者が出てしまったりすることも珍しくありません。ただし、的確な評価制度があれば適材適所の組織作りに役立ちます。この記事では、悩める人事担当者、教育担当者に向けて人事評価制度のあり方を解説していきます。一緒に確認してみましょう。

1.人事評価制度とは

人事評価制度とは、従業員の能力や貢献度などについて評価し、その評価内容に応じて適切に従業員を扱うための制度のことです。多くの企業では、半年に1回、1年に1回など、定期的に評価を行います。また、評価基準については企業ごとに独自のものを定めるのが一般的です。

基本的に、人事評価制度は「評価制度」「等級制度」「報酬制度」という3つの要因から成り立ちます。

・評価制度
評価制度は、従業員の行動や業績を評価するための制度です。企業の評価方針を定めたうえで従業員の行動指標を策定し、評価対象期間における従業員の働きを指標に基づいて評価します。ここでの評価が従業員の等級や報酬を左右します。

・等級制度
等級制度は、社内の序列である等級を定義づけるとともに、各等級に与えられる権限や役割を決定する制度です。

・報酬制度
報酬制度は、従業員一人ひとりの報酬、つまり給与や賞与の金額を決定するための制度です。評価や等級を基にすることで、従業員の能力や役割に見合った報酬を決めることが可能になります。

2.人事評価制度の目的を忘れずに

従業員が不満を抱いている企業は、人事評価制度の目的を見失っていることが多い傾向です。そのため、まずは「何のために従業員を評価するのか」についての基本を再確認しておきましょう。

2-1.適材適所の人材配置につなげる

人事評価制度の目的は、「成長してもらうこと」「やりがいを持ってもらうこと」「長く働きたいとおもってもらうこと」。つまり「人財育成」です。人事評価制度は、従業員の長所と短所を明確にするものであり、客観的な目安に基づいているので、「自社にどれだけ貢献できているか」という点をはっきりさせることができます。その結果、従業員の現状をしっかり把握して、能力を十分に発揮できる部署へと配置転換させることも可能です。こうした采配により、従業員はよりやりがいを持つようになり、それぞれの会社への貢献度はさらに高まることが期待できます。また、適材適所の労働環境が実現するため、従業員のモチベーションアップにもつながるのです。

2-2.理想的な人材を育成できる

人事評価制度が正しく設定されれば、従業員の努力や成果が公平に認められていきます。そのため、従業員のモチベーションはアップしたり能動的に業務を行ったりすることも期待できるでしょう。すなわち、企業のために積極的な働きを見せてくれる人材が増えていくのです。さらに、人事評価制度は従業員に経営陣が期待しているポイントを示すことができます。「このポジションの従業員にはこのような結果を求めたい」とのメッセージを込められるので、従業員は企業の期待する行動をとる可能性が高くなるのです。

2-3.企業が発展できる

評価の基準が明確になれば、経営方針を従業員と共有できます。「これほど頑張っているのに評価してもらえない」といったすれ違いが減るため、全従業員が同じ方向へと進んでいけるでしょう。そうなれば、企業力は高まり発展へとつながります。なお、ここまで挙げてきた「人材配置」「人材育成」といった要素も、企業成長の原動力となるポイントです。

2-4.公平な処遇を決められる

評価制度は、企業成長のほか従業員の処遇を決める際にも役立ちます。例えば、「どの従業員にどれだけの給料を与えるのか」「どのようなポジションを与えるか」といった方針も明確になるはずです。評価制度があいまいなままだと、従業員の処遇には少なからず評価者の主観が入ってしまう可能性が高くなるでしょう。結果的に、年功序列や上層部との関係性など、ほかの従業員には納得しにくい理由で昇進が決まってしまうことも考えられます。評価制度が確立されている場合は、年齢やキャリアでなく成果によって従業員の貢献度は見定めることが可能です。また、適切な処遇がなされていくので不満や批判が出にくくなるでしょう。

3.人事評価はどのように行うのか

現場で導入されている人事評価制度は、企業によってさまざまです。ここでは、代表的な2種類を確認していきましょう。

3-1.MBO(目標管理制度)の特徴

MBO(目標管理制度)は、従業員が自身で目標を考え企業に伝えたうえで達成度が評価される仕組みです。MBOでは、できるだけ目標の内容や期限を細かく定めることが必要で、主なメリットとデメリットには以下のようなものがあります。

MBOのメリット
・貢献度と成長度が重なる
MBOでは、従業員と企業間で目標が共有されているため、「自分の努力が企業に利益に直結している」という構造が生まれます。
・モチベーションアップ
従業員のなすべきことがはっきりしているので、従業員にとっては迷いなくモチベーションを上げることができるでしょう。

MBOのデメリット
・状況の変化に左右される
内容が具体的に定められているため、少しでも経営状況や方針が変わればその都度修正を余儀なくされます。
・見直しが必要
定期的に内容を見直さなくてはならないので、従業員も人事担当者も確認の負担が増えます。

3-2.360度評価(多面評価)の特徴

直属の上司だけでなく、複数の従業員で一人を評価する方式です。個人間の関係性に左右されず、公正な評価が実現しやすい方法といえるでしょう。
360度評価のメリット
・評価基準が多面的
直属の上司だけでは気づかなかった、さまざまなポイントを評価してもらいやすくなります。
・納得しやすい
複数の視点による評価なので、従業員からの不満が生まれにくいでしょう。

360度評価のデメリット
・人間関係の悪化
場合によっては、特定の従業員をさらし上げるような状況を招きます。雰囲気が悪くならないような配慮は必要です。
・従業員の工数が多い
評価する側は、何人もの従業員を相手にするので、かなりの時間と労力を割かれます。

4.コンピテンシー評価の特徴

コンピテンシー評価とは、業務遂行能力が高い従業員の行動特性を把握し、それを基準として評価を行う方法のことです。「コンピテンシー」には「高い成果を上げるための行動特性」という意味があります。社内で高い業績を上げている従業員の行動特性を基にモデルを構築し、そのモデルから設定した評価項目と各従業員の行動を照らし合わせて評価を行います。コンピテンシー評価のメリット・デメリットは以下の通りです。

4-1.コンピテンシー評価のメリット

・評価のブレが発生しにくい
基礎的な能力や知識、スキルといった項目ごとに明確な評価基準を設定するため、評価がブレにくいという特徴があります。

・評価への納得感が高い
実際に高い業績を上げている従業員をモデルとするため、他の従業員は評価基準に納得しやすいでしょう。

4-2.コンピテンシー評価のデメリット

・正しい方法で行う必要がある
正しい手順で評価を行わないと、期待した効果が得られない可能性もあります。優秀な従業員のモデルを部門ごとに考え、明確な評価基準を決めたら各従業員に達成すべき目標を設定させましょう。

5.人事評価制度を導入するときの流れ

人事評価制度を導入するときは、正しい流れを踏襲することが大切です。ここからは、人事評価制度導入時の7つのステップを順番にみていきましょう。

1.目的の設定
まずは人事評価制度を導入する目的を明確にします。昇進の基準を明確にしたい、インセンティブの適切な配分を決めたいなど、目的によって導入すべき評価制度も変わってくるでしょう。最初のステップが評価制度導入の基盤となるため、目的についてはしっかりと煮詰める必要があります。

2.評価制度の検討
次に、数あるバリエーションの中から導入する評価制度を検討します。ステップ1で決めた導入の目的はもちろんのこと、企業の理念に合っているかどうかも考えながら各評価制度を比較してください。同時に、従業員の業務内容を把握したうえで、アンケートでどんな点を評価してほしいと思っているのか確かめておきましょう。また、継続的に運用可能かどうかという現実的な側面も考慮しておくことが大切です。

3.評価項目の決定
導入する評価制度を決定したら、次は具体的な評価項目を決めていきます。役職や職種の違いによって業務上求められる能力は変わってくるため、それぞれに異なる評価基準を設けることが重要です。従業員を監視するためではなく、意欲を持って業務に取り組んでもらうために評価制度を導入するのだという意識で評価項目を策定しましょう。

4.処遇への反映方法の策定
評価制度は、等級制度や報酬制度と連携させることで本来の効果を発揮します。これは、従業員の評価内容が処遇に反映されるようになり、納得感を持って働いてもらえるためです。評価を正しく処遇に反映させるために、連携方法の明確な規定を作成しておきましょう。なお、賃金規定や就業規則の内容を変える場合は監督署に届け出る必要があります。

5.評価制度の規定化
策定した評価制度は規定としてまとめ、全従業員が確認できるようにしておきましょう。細かい規定を作成することで、評価基準が明確化して評価者ごとのブレが生じにくくなります。同時に、評価フォーマットを用意しておくと円滑に評価制度を運用できます。

6.従業員への周知
評価制度の導入を、事前に従業員へ周知することも大切です。説明会などを行い、「評価内容が処遇にどう反映されるのか」といった従業員の疑問を解消しておきましょう。また、評価者に対して研修を実施し、評価基準を統一して不平等が生じないようにしてください。

7.運用開始
すべての準備が整ったら、実際に評価制度の運用を開始します。運用が始まってから制度内容に問題が見つかることも多いので、改善を繰り返しながら自社にとって理想的な評価制度を構築しましょう。

6.人事評価で評価者が起こしやすいトラブル

評価者にも感情や日々の印象があるので、完璧に公正な判断を下せるとは限りません。私情で評価をする可能性があるほか、責任逃れをして無難な評価に逃げる人も考えられます。逆に、主観を強く出しすぎてしまうと企業の評価基準を無視してしまう可能性も十分に考えられるのです。こうした現象を「人事エラー」と呼びます。人事エラーは、非常に起こりやすいトラブルだと踏まえて、事前に対策を立てておきましょう。評価者への研修を行い、評価者に人事評価の意義を深く伝え、正しい認識を持たせることで結果の改善が期待できます。

7.人事評価制度におけるフィードバックの重要性

人事評価制度を運用するときは、従業員の最終的な評価を決めただけで満足してはいけません。評価結果を評価対象の従業員と共有する「フィードバック面談」が非常に重要です。フィードバックによって従業員は評価結果に納得し、課題を明確化して今後の成長につなげていくことができます。そして、各従業員の成長は確実に企業の成長へとつながっていくでしょう。

フィードバック面談では、まず面談の目的を伝え、従業員から自己評価を聞き出します。次に、評価結果を伝えて自己評価とのギャップをすり合わせてください。このとき、従業員が評価に納得できるように、判断の根拠となった具体的な事例を提示することが重要です。そして、評価結果やすり合わせからあぶり出された課題、改善点などを従業員に伝えましょう。

なお、業務に忙殺されてフィードバックに時間が割かれていない場合もあるため、フィードバックが適切に実施されているか定期的に従業員に確かめることも大切です。

8.人事評価がブレたときに起こる危険

まずは、「離職率の増加」です。「正しい人事評価が受けられない」と分かれば、従業員は不満を抱き始めます。「平等でない」「説明を受けられない」といった不満が重なっていけばモチベーションは失われるだけでなく、人材の流出にもつながりかねません。また、「訴訟」を起こされるリスクもあります。あまりにも従業員の処遇が理不尽だったケースなどでは、「裁判所に訴えられる」という可能性も想定しておきましょう。そうなれば、企業のイメージダウンを招きかねません。そもそも、こうしたトラブルが連続すると人事評価の目標だった人材育成がおろそかになってしまいます。

9.人事評価を考えるタイミングと見直すメリット

企業が成長期に入り、従業員や評価者が増えたときは評価基準があやふやになりがちなため、そのタイミングで人事評価制度を見直しましょう。また、長年続いた評価制度も、あまりにも汎用的であったために細かい部分が自社と合わなくなることもあります。そのように感じたら見直すべきです。制度が古すぎて成果主義や同一労働同一賃金に対応できないのなら、より一層修正する緊急性が高いといえます。いうまでもなく、すでに従業員から抵抗があったり離職者が増えたりしているときも見直しましょう。適切な人事評価制度が設定されると、従業員の意識を改善することも可能です。

10.人事評価の設定・修正のポイント

人事制度の評価項目には、「能力評価」「成果評価」「情意評価(熱意や姿勢)」などがあります。どの項目を採用するか、どれを重点的に評価するかで、人事制度のあり方は変わってくるでしょう。項目の比重を考え直すには、従業員にヒアリングを行うことがおすすめです。現状の制度の問題点が分かると、どのようなバランスで設定すればよいのか見えてきます。

11.企業の発展に関わる人事評価制度を大切に

人事評価制度は、モチベーションアップや離職防止、正しい処遇を実現させるだけでなく、企業の発展にも不可欠です。評価制度を考え直したい人事担当者・教育担当者向けに、元マクドナルド・ユニクロの教育トップが無料のWebセミナーを定期的に開催しています。特に、サービス業の担当者にはためになる情報が満載ですので、気になる人は詳細をチェックしてみましょう。

グローイング・アカデミー 担当者グローイング・アカデミー担当者

投稿者プロフィール

株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパンにて、
各種サービスの企画担当を経て、現在はマーケティング部門にて編集を担当。
学生時代は居酒屋店員として4年間のアルバイトを経験し、飲食店の現場事情に精通。
今でもお店を訪れるとスタッフの動きが気になってしまう、自称『店舗事情ウォッチャー』。

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